頭部と前足、性器のない死骸が見つかる
北海道の室蘭市で猫の惨殺死体が発見されました。
場所は室蘭市輪西町1丁目の日本製鉄の輪西社員寮の敷地内です。
猫は1月8日(水)午前9時15分ごろ寮を管理する男性が発見し、「猫の死体がある」と警察に通報しました。
警察によると殺された猫は、黒猫で、頭部と左前脚、性器が無い状態だったとのことです。
発見場所付近には血痕がなく、切断された頭や左前足も見つかっていないことから、猫は別の場所で殺されてから発見場所まで運ばれた可能性があるとのことです。
警察では、動物愛護法違反を視野に捜査しています。
また、室蘭市教育委員会とも情報共有し、付近の警戒を強化しています。
過去にも同様の事件が発生
今回の事件の前にも同様の猫殺害事件がありました。
2024年4月15日(月)午前8時30分ごろ、付近に勤める女性会社員から警察に「猫の死体がある」との通報がありました。
発見場所は北海道室蘭市輪西町1丁目34にある輪西公園で、今回猫の惨殺死体が見つかった日本製鉄輪西社員寮とは同じ町内の目と鼻の先にある場所です。
猫は、茶色と白の混じり合った毛が特徴で、上半身のない死体が発見されました。
また、翌日の4月16日(火)午前6時30分ごろ、同じ輪西公園にて、ベンチの近くに動物の骨が残されているのが見つかっています。
骨は約20cmほどで、行方不明の頭の部分だった可能性があるとのことです。
近所の住民は「もともと公園内に猫は何匹かいたことはいた。かわいそうなことをする人がいてびっくりした。残酷ですよね。」と話していました。
付近に血痕はなく、何者かが切断してから公園内に持ち込んだ可能性があるとのことでした。
室蘭市では付近の小中学校の周辺を見周るなどの警戒を強めるほか、警察も動物愛護法違反で捜査しています。
動物殺害犯罪における犯人像の分析
2018年に発表された、元富山県警科学捜査研究所の財津亘氏(現目白大学心理カウンセリング学科准教授、専門は犯罪心理学)の論文によると以下のように述べられています。
「動物虐待」中でも殺害にまでに至った事件の虐待犯が、典型的にどのような人物であるのか検討することを目的とした本分析は、犯罪者プロファイリングを想定し、野良猫などの「非自己飼育」の動物への物理的攻撃を行った虐待犯を中心に分析を行った。
インターネットを用い、2002年から2017年までの間に飼育されていないあるいは他人が飼育していた動物に対して物理的に攻撃することで殺害し、検挙された虐待犯に関する事件情報を収集し(25名)、それらの情報を分析した。加えて参考までに、自分で飼育していた動物に対して物理的に攻撃して殺害し、検挙された動物虐待犯についても図1 動物殺害に至った虐待犯の属性「非自己飼育」「 自己飼育」として収集した(ただし収集できた情報は6名のみ)
収集したサンプル(非自己飼育)によると、25 名中 21 名が 「猫」を対象としており、その他の動物を対象としている者は稀であった(犬やうさぎ・ねずみなど)。最も多い虐待の方法として、素手や鈍器等による殴打や蹴る、地面などに叩きつけるといったものがみられた(25 名中 13 名)。その他の方法は、多種多様であった(手足を切断する・熱湯をかける・焼損 させる・毒物を摂取させるなど)。動物虐待犯1名における被害動物数も、1匹〜 47 匹と様々であった。
図1 に動物虐待犯の属性を示すとおり、すべて日本人であり、かつ居住地を有していた。「非自己飼育」動物対象の虐待犯がすべて男性であった一方で、「自己飼育」動物対象の場合は女性の割合が増加した。職業については、「非自己飼育」 の場合で、有職者と無職者はおよそ4割程度であった。ただし、有職者の場合、会社員や公務員・税理士などいわゆるホワイトカラー系有職者が多数を占めるといった特徴がみられた。「非自己飼育」型の平均年齢は 37.6 歳(SD 12.9)、中央値が 38 歳と 30 代が中心であった。「非自己飼育」型の、有職者の犯行動機は、「仕事のストレス」による犯行が占めていた反面、無職者の場合は、犯行動機が様々であった。
動物虐待犯の年齢については 30 代が中心で、米国の動物虐待犯とあまり相違がなかった。虐待動物が、虐待犯に飼育されているか否かで、虐待犯の性別が異なる傾向がみられた点も米国と共通する特徴であった。
米国には Pet-Abuse.Com というインターネットサイトがあり、動物虐待に関するデータベースが提供されているという(岩見,2011)。その米国のデータベースによると、野良犬や野良猫に対する虐待の方法として、発砲で 57.6%、毒物で 9.5%、切断・拷問で 8.3%、殴打で 7.2%とされる。動物虐待犯の特徴としては、全体の4割が 30代 40代で、どの年齢層においても女性よりも男性の方が多いとされる。また、過剰飼育による虐待の場合には、女性の方が多いといった特徴があるとされている。このことは、動物虐待と言っても、 自己飼育の動物か否かによって犯人像も異なることを示唆している。ただし、犯罪者プロファイリングが必要となる虐待事案は、野良猫など「非自己飼育」の動物が対象となることが多いであろう。
まとめ
今回の日鉄輪西社員寮と輪西公園の猫の惨殺死体はとても狭い範囲に遺棄されており、輪西町に住む方々にとっては、とても不安な事件だと思いました。
4月の事件では上半身は骨だけとなっており、1月の事件では頭部、左前脚、性器が見つかっていません。
動物虐待殺害事件は凶悪犯罪の前触れになることもあり、地域の安全を脅かす兆候として重要です。
この地域に何らかの関連をもつ住民が攻撃的な怒りやストレスを抱えている可能性があり、住民の方々の安全を祈らずにはいられません。
今後の警察の捜査が進展し、事件が解決することを願います。
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